無料 パチスロ ゲーム

釧路のメガソーラー予定地、環境NPOが一部取得 希少種保護へ

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷
小型無人機から撮影した大規模太陽光発電施設が計画されている原野(中央奥)。左斜めに走る道路は「釧路湿原道路」=北海道釧路市北園で2023年8月18日、読者提供 拡大
小型無人機から撮影した大規模太陽光発電施設が計画されている原野(中央奥)。左斜めに走る道路は「釧路湿原道路」=北海道釧路市北園で2023年8月18日、読者提供

 釧路湿原国立公園周辺の原野で計画されている大規模太陽光発電施設の予定地の一部を、市民からの浄財で土地を保全する「ナショナルトラスト」を進める釧路市のNPO法人が、先行して取得したことが明らかになった。釧路湿原に近い市街化調整区域を舞台に太陽光発電施設の設置が次々と進む中、メガソーラー計画とトラスト運動のつばぜり合いの構図が浮かび上がる。【本間浩昭】

 不動産関係者によると、釧路湿原道路と釧路外環状道路に挟まれた釧路市北園の市街化調整区域にメガソーラーを計画しているのは、東京都港区の会社。80ヘクタール弱の原野に最大出力3万キロワット近くの太陽光発電の設置を計画しているという。

右奥の原野の先がメガソーラー計画の予定地。手前にはピンクの目印が二つあり、2点間の距離は約6メートル。パネルの搬入路の可能性がある=北海道釧路市北園で2023年11月26日、本間浩昭撮影 拡大
右奥の原野の先がメガソーラー計画の予定地。手前にはピンクの目印が二つあり、2点間の距離は約6メートル。パネルの搬入路の可能性がある=北海道釧路市北園で2023年11月26日、本間浩昭撮影

 一方、NPO法人「トラストサルン釧路」は9月4日、計13ヘクタール余りの原野を取得した。この一部の約5ヘクタールが発電計画の予定地と重なっているとみられる。同NPOは、一帯が太陽光発電計画の「草刈り場」であると認識していたが、この土地が予定地になっていることは取得時には知らなかったという。

 土地を売却した市内の男性(70)によると、3年ほど前、市内の不動産業者から「太陽光をやりたい業者がいて、土地を探している」と持ちかけられた。男性も所有地の整理を考えており、売買交渉を業者に一任する証書を交わした。「売却額は1坪500円でした」。証書には買い取り期限も記載され、「1年ぐらいの数字が書かれていた」という。

 ただ、「すぐにでも発電事業が決まるような話でしたが、計画が難航したらしく、一向に交渉が進みませんでした」と振り返る。

 男性は今春、湿原の保全を進める同NPOの存在を知り、連絡した。NPO幹部は、この土地が絶滅のおそれのある両生類・キタサンショウウオの生息適地とされているとして「ぜひとも保護したい」と提案した。周辺の湿原一帯はタンチョウやオジロワシ、チュウヒなどレッドリスト掲載の約100種の希少動植物が生息する。

 売却額は当初、折り合わなかったが、男性は「湿原を守るために30年以上も活動を続けるNPOに強い熱意と誠意を感じました」と、売却を決めた。

 証書を交わした業者には「買い取り期限が過ぎた」として売却を断る連絡をした。NPOへの売却額は、業者が示した額の4分の1ほどだったが、男性は「お互い気持ちよく取引でき、悔いはありません」と笑った。

トラスト運動「守りたい」一心で

 同NPOのナショナルトラスト運動は、土地の寄付を受けて「保護地」として保全するのが原則。よほどのことがない限り、買い取りは行わないため、取得に至らなかった経験も多い。「十数年前、キタサンショウウオの重要な生息地に道東自動車道の計画が浮上、用地を取得しようとしましたが、金額が折り合わずに涙をのみました。もう少し力があれば」。前事務局長の杉沢拓男さん(78)はいまも悔やむ。

 同NPOによると、これまで保全が実現したのは57カ所で計600ヘクタール余り。大半は1ヘクタール未満で、次々に設置される太陽光発電施設には到底及ばない。「つばぜり合いといえるほどの力はありませんが、湿原を守りたいという一心でトラストを続けている」という。

 釧路湿原周辺では、国内外の太陽光発電関連業者が、地元の不動産業者などを通じてメガソーラー用地の確保競争を繰り広げ、新たに釧路市に営業所を置く業者もいるという。不動産関係者は「釧路湿原は土地が平らで広く、土地争奪戦のホットスポットになっている」と漏らす。近年の主なターゲットは、釧路湿原国立公園に隣接する市街化調整区域とされる。ただ、そこにも貴重な生態系が残されており、同NPOは入手した原野を「未来永劫(えいごう)、保護地として保全する」と話す。

 港区の会社の役員は「まだ計画段階だが、相当大型のプロジェクトで、行政と相談して進めている」と計画を認めた上で、「希少種がいるかどうかなど環境影響調査も進めている。手を付けてはいけない場所だとは考えていないが、無理やり進める気はない」と話した。予定地の一部が他団体に取得されたことについては「細かいことは分かりません」とした。

あわせて読みたい

スポニチのアクセスランキング

現在
昨日
1カ月

ニュース特集